コスチュームジュエリー　1900年前後〜1960年代

コスチュームジュエリーは、その時代を象徴していると言っても過言ではありません。それぞれの時代のスタイルをお楽しみください。

1900年前後〜10年代　ベルエポック　コスチュームジュエリーの登場

コスチュームジュエリーとは、本物のジュエリーと全く同じ形で合金やガラスで作ったアクセサリーのことで、19世紀に登場したのが始まりといわれています。

当時、結婚式に花嫁はティアラを着けていましたが、本物の宝石や金で作られた物は、王族や貴族に限られていました。そのため、庶民にも手に入れることができる、安価なティアラが作られ、普及し、その後アクセサリーとしての地位を確立したのが前身のようです。

同時に、舞台衣装のアクセサリーとして使われた事から、《コスチュームジュエリー》 の名称で呼ばれることになりました。

ガラス細工には、現在もクリスタルガラスで有名なオーストリアのスワロフスキーやベネチアングラス、ボヘミアングラス などが使われていました。

そして、フランスでは、ファッションデザイナーのポール・ポワレがオーベール街5番地通り（5 Rue Auber）に自身のメゾンを1903年に創立。ポワレが1908年に創設した香水ブランド「ロジーヌ香水」を発端に、オートクチュールメゾンが香水を販売しはじめました。

1920年〜30年代　アール・デコ　ムーブメント　シャネル、グリポア、ハスケル

アール・デコムーブメントの時代に、ココ・シャネルは洋服をさらに完璧なものにするため、コスチュームジュエリー をデザインし、パリのグリポア工房に制作を依頼します。

この時代にロングペンダントやバングルなどが登場し始めます。

また、ベークライトに代表されるプラスチック素材や、ラインストーン、ムーンストーンも多く使われ始めます。

アメリカでは、この時代にミリアム・ハスケル（最初はシャネルやフランス製のアクセサリーを輸入して販売していた）、トリファリ社が本格的に支持を集め、繁栄します。

1940年代　ヨーロッパのジュエラーがアメリカへ　コスチュームジュエリーブーム到来

世界恐慌と第二次世界大戦の影響で、高価な本物の宝石そっくりで安価なコスチュームジュエリー が人気を博します。また、ヨーロッパのジュエリー商は閉店を余儀なくされ、ジュエリーデザイナーの多くがアメリカに移住し、アメリカのコスチュームジュエリーメーカーが繁栄します。

レトロと言われるこの時代のデザインには、自然を表現したフローラルモチーフ、サンバーストなどが多く見られる一方、馬やミリタリーテイストも登場しています。

1950年〜60年代　アートモダン、ディオールの《ニュールック》登場

レトロ時代の後半から、アートモダンが始まります。

アメリカの中産階級、特に働く女性達が手軽に買えることから、コスチュームジュエリー が普及します。デザインは、トラディショナルなスタイルが見受けられます。

フランスでは、1947年春夏コレクションでクリスチャン・ディオールが独立後初めてのコレクションとして発表した新しいシルエットが、世界的なセンセーションを巻き起こします。

ニュールックと呼ばれるこのスタイルは、女性の腰のくびれを強調するなど、古典的なスタイルの中に、着心地のよさを追求しています。このスタイルは、50年代から60年代にかけて本格化します。